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屋根上応急サポートプロジェクト参加者メッセージ集






 

 

 

屋根上応急サポートプロジェクト 参加メンバーからのメッセージ

泉佐野市出身 上野 晃生さん

 

「屋根上から見る岸和田市」

屋根上から岸和田のまちを見た経験はありますか?―

 

私は泉佐野市出身で、現在、神奈川県在住の災害ボランティア活動経験が乏しい・・・いえ、無いに等しい男でした。

 

94日に泉州を襲った台風21号による被害の報道を見て、神奈川県から慌てて地元に戻る際に乗車した南海電車の車窓から見える様変わりした街並みと飛散物が散乱した光景に、心が痛んだ事を今でも鮮明に覚えています。

 

実家の安全確認ができ、先ずは泉佐野市災害ボランティアセンター開設直後から閉所までの期間、災害ごみの回収と運搬などを中心に活動をさせていただきました。

 

泉佐野での活動を終えるものの、南海電車の車窓から見える光景に変化が無いどころか、降り続く雨で雨漏りなどの症状が出始めたお家がどんどん増えていることに気づきました。

屋根の応急処置でお困りの方がいる中でも、技術と経験が必要なニーズに対して、このプロジェクト参加前の私には何もできず、モヤモヤした気分の日々が続きました。

 

そんな中、今回の岸和田市のプロジェクトを知りましたが、自分は災害ボランティアの経験も乏しいし、ましてや高所作業などの経験もなく・・・正直なところ参加について迷いました。

 

先ずは、岸和田の被害状況を確認してみようと思い、岸和田市内を循環するローズバスに右回り左回りと乗車してみました。バスの車窓から見る景色は想像以上のひどい状況でした。

 

そこで、やはり自分が参加して技術を得ることが少しでも貢献に繋がると思い、プロジェクトに参加を決めました。

活動初日の私は、近所のコンビニに行くような服装、ポケットにはゴム手袋、100円均一で少し揃えた道具などなど・・・(今となっては、その時の自分に「もうちょっとちゃんとしとこか」と言ってあげたい気分です。) 

 

そんな私でも、災害ボランティア 愛・知・人の皆さん、個人ボランティアの藤丸さん、中村さんは親切丁寧に、同じようにできなくても笑顔で何度も何度も同じことを教えていだけました。また、継続参加することにより、活動に必要な道具や装備など技術面以外でも多くの知識を得ることができました。

 

現在の活動の中で、私の大きな役割は、屋根下で「危険な屋根上で作業されている方が、どの様にしたら1秒でも早く安全に降りて来て貰えるか?」を考えて行動することです。

 

毎朝、訪問先への出発前には熟練者の先輩から「屋根上は本当に危険」と事前説明があり、自分自身も実際に初めて屋根に上がった際には身の危険を感じました。

一番の危険回避は屋根に上がらないこと。

 

でもそれでは困っておられるお家の屋根の処置ができないので、熟練者の方々は最大限の安全確保と危険回避の対策をすることで、屋根上の応急処置のお手伝いをされています。

屋根上での作業は、傾斜があり砂も付いていて足元が非常に滑り易く、地上より風の影響も受け易いので、不安定な状況下での作業になります。

 

屋根下で安定した作業を行うことにより、屋根上で作業する方が安全に、丁寧に活動することに集中してもらえます。

 

屋根下での主な活動は、屋根上の方が安全に活動できる様に少し工夫をして「必要資器材の上げ下ろし」「オーダーに合わせてブルシートを加工すること」が中心となります。

 

同時に、近隣住民の方へのご挨拶と活動の説明、訪問先の周辺を訪問前より綺麗に掃除する、作業で出るゴミや飛散物の回収、車の誘導、不安そうな相談者の方と作業を見守る中の何気ない会話をすることも重要な役割になります。

 

屋根上作業は、緊張状態が長時間続くので、休憩や昼食の際に屋根上から降りてき際に、場を和ませて緊張を解くのも大きな役割です。

 

そして、休憩後に安全帯を締めた瞬間から、また集中して作業に戻る「緊張と緩和」も大切なリズムですので、休憩時はみんなで楽しく過ごして作業をしています。

 

私自身も活動当初は、屋根上の活動者に対して何もサポートができず、想定よりも作業時間が長引き、予定していた訪問先へ行けずに日暮れを迎えたこともありました。

 

この経験が私を「屋根下での作業を誰かに伝えれるレベルまで頑張ろう」と決意させ、現在もその思いで屋根下の作業を行なっています。

 

活動はチームで行うので、どの役割が欠けてもスムーズには進みません。

 

屋根下は屋根に登った際に必要な事を学ぶ場でもありますが、ただ屋根に上がれない人がする単純作業でも有りません。

 

屋根上の方にとっては、屋根下のスペシャリストと一緒に活動できるほど、心強いことはないと言えます。

 

歌舞伎で例えるなら黒子の役割で、決して照明が当たることはないですが、どんな名場面にも登場し、円滑に一つの芝居を終わらせることに欠かせない存在です。

 

「黒子の美学」。私が大好きな言葉です。

 

これから参加を考えている方や、すでに参加された方にも、この活動には屋根に上らない重要な役割が有ることを知っていただき、ご都合がつく日には自分が出来る役割で一緒に参加していただけると嬉しいです。

 

「地域住民による、地域住民のための、地域住民による活動」の方向性に賛同し、現在も継続して参加させていただいています。

 

大阪は、大阪市の端から端が約25km、泉佐野市中心部から岸和田市中心部を結んでも約8kmの小さな地域です。

 

現状では、たった一本の道を挟んだ向かいのお家は、市が異なるので活動が行えません。

 

岸和田市外の近隣地域においても、同じように活動が出来るのであれば、より多くのお困りの方の役に立てるのかと思います。

 

本来、このような活動は無い方が良いですが、何かあった際には現在の岸和田市での活動がモデルケースとなり、その際に技術系のボランティアとして何か活動が行えるように、先ずはできる限り岸和田市に貢献をしていきたいと思っています。

 

これから冬至に向かい日照時間も短くなり、活動時間が制約されてくる状況は明確なので、賛同して参加していただける方が、今よりも多く必要となります。

 

現在でも多くの相談者の方が訪問を心待ちにされており、雨の予報を見るたびに暗い気持ちになられていると思います。

 

お困りの方は、ご自身で屋根に上がることも出来ず、専門業者に問い合わせても訪問は数ヶ月から一年先という状況で、八方塞がりの状況の中、今夜も雨漏りをするお家で生活をされています。

雨漏りが始まり、室内にはカビが繁殖し、これからの季節はエアコンやストーブで室内の湿度も上昇する事により繁殖が促進され、一番怖い健康被害に繋がる可能性があります。

 

訪問するご自宅には、自分の親や祖父母の世代の方が、目を潤ませて玄関まで出迎えてくれて、帰りには見え無くなるまで見送って貰える姿に、私はいつも涙腺の堤防が決壊しそうになります。

 

既にご自身で掛けられているブルーシートや土嚢なども、紫外線などで劣化が進み、今後もお困り相談件数が増加することも予想されます。

 

「地元のために!」とか、「ボランティア活動したい!」など、そんな熱い思いなどは必要なく、始めるきっかけは人それぞれで良いと、私は思います。

自分が出来ることを、出来る時に、出来る人が行動する行為を、誰かが「ボランティア」と呼ばれています。

 

先ずは熟練者の方と一緒に、屋根上から、皆さんが思い入れのある岸和田のまちを見てみませんか?

 

何か感じることが出来たなら、継続して活動を共にしていただければと思います。

 

このメッセージがどこかの誰かに届き、いつの日かこのプロジェクトに参加してみよう思うきっかけになれば幸いです。

 

有難う御座います。